News新着情報


 

ZETAを用いた交通インフラ劣化度検査システムの実証実験を開始

最先端のIoT技術を扱っている株式会社テクサー(本社:京都市、代表取締役社長:朱強、以下 テクサー)は、一般財団法人関西情報センター(所在地:大阪市、会長:森下俊三、以下関西情報センター)が主宰する「スマートインフラセンサ利用研究会」(座長:大阪大学大学院教授 矢吹信喜、土木情報学)のメンバーとして、高速道路等の交通インフラ構造物の劣化の度合いを、IoT技術を用いて遠隔地から計測するための実証実験を開始した。本実証実験は、(一財)日本建設情報総合センターの研究助成を受けて実施するものである。

近年、道路等におけるインフラ構造物の劣化が進み、安全性の確保、メンテナンス費用の軽減等を図るために、センサによる状況把握と、予防保全への活用が求められている。 関西情報センターでは、道路管理者、建設、測量、センサメーカ、ソリューション・プロバイダ等の参加を得て、平成27年度からセンサ技術や利用に関する取組事例研究を行ってきた。平成28年度はセンサ活用を促進するためのコード化やデータベースからなるエコシステムと社会インフラIoTプラットフォームを提案し、3つのWG活動を開始した。また、平成29年度には、WG活動を本格推進し、橋梁へのセンサ設置とLPWAによるモニタリング実証実験に着手した。さらに、平成30年度には、3つのWG活動の継続推進と、コード化案や土木センサポータルサイトを含めたIoTプラットフォームの試作を進める。今年度開始した実証実験では、、代表的なLPWANとしてZETA(*1)、LoRaWAN、Sigfoxの3種類について通信状態の評価を中心に実施する予定である。

この研究会の実証実験の一環として、テクサーでは亀裂変位計(*2)で計測されたデータを最新の低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)であるZETAを用いてインターネット上のクラウドサーバに送信し、遠隔地での観測を行うための実証実験を開始した。この実証実験は、大阪大学大学院の小泉圭吾助教のご指導のもと、東大阪市の春宮跨道橋を大阪府から実験のフィールドとしてご提供いただいて実施している。

交通インフラの劣化度合いの検査は、従来は目視と現場での打音の聴き取りなどの方法で実施されている。しかしこのような方法では検査を行うために多数の人員が必要になり、検査の実施に膨大な費用が発生するだけでなく、検査に必要な時間も長くなり、交通インフラ全体の劣化の度合いをリアルタイムで把握することが困難である。

今回の実証実験では、橋梁に亀裂が発生した場合を想定して、その変位が遠隔地からリアルタイムで観測できることを示すことを目的としている。そのため、本実証実験では市街地に設置された橋梁を観測対象として選択している。しかし、テクサーが提供しているZETAは、山間部などでの商用電源が利用出来ない場所や携帯電話の電波が届かない場所に存在する構造物の検査データの送信も行えるという、他のLPWAN規格にはない特徴を持っている。

このような山間部での運用が可能になるのは、ZETAでは基地局だけでなく中継器を用いてメッシュ状のマルチホップ通信ネットワークを自律的に構成できるからである。これにより、センサ端末から基地局に至る経路に冗長性を持たせることができ、より安定した信頼性の高い通信ネットワークが実現できる。しかも中継器は電池で数年間の稼働が可能であり、その価格は基地局の価格の10分の1以下である。したがって、ZETAを用いることにより、交通インフラの検査のための通信ネットワークの初期設置費用も運用費用も、他のLPWANと比較してはるかに低コストに抑えることができる。また、従来のLPWANでは対応が非常に困難な、商用電源が利用できない場所や携帯電話の電波が届かない山間部などでの検査も容易に実施できる。

今回の実証実験では、ZETAの基地局の設置場所は観測対象の橋梁から100m程度しか離れていないので上で述べたZETAの長所を示すことが難しいが、今後は中継器を複数台用いたメッシュネットワークの特徴を示すための実験も予定している。さらに、振動センサなどを用いた構造物の劣化度のモニタリングも行いたいと考えている。このような活動を通じて、テクサーは将来の交通インフラの遠隔検査のためのデータ通信方式を確立し、交通インフラの安心と安全の確保が必要なスマートシティの実現に貢献してゆく所存である。

  • (*1) ZiFiSense(本社:英国ケンブリッジ、CEO:Zhuoqun Li、URL:http://www.zifisense.com)は、2013年に英国ケンブリッジで創業された情報通信のベンチャー企業である。ZETAはZiFiSenseが開発したLPWANシステムである。同社は現在、中国の厦門(アモイ)、上海、重慶などでビジネスを展開中である。テクサーはZiFiSenseと資本・業務提携を行っており、ZiFiSenseの製品の日本での独占販売権を持つ総代理店である。
  • (*2) 構造物に発生した亀裂の幅(変位)を測定するためのセンサ

PDFを表示


2018.6.26掲載 / NEWS